atelier omamagoto

written by natsume murao

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豊島を知りたい・産廃処分地を見学する

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▲家浦港より3㎞の距離とは言うが、未舗装の砂利道を通るため、思いの外時間がかかった(自転車で約30分)。

 

入口までのアプローチは、様々な木々がうっそうと茂り、変わらない風景が延々と続いて、異様に長い距離に感じた。ようやっとたどり着いた門構えは他者を寄せ付けないものものしさを放つ。
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▲資料館前の石碑
 
島内唯一のエレベーターがある建物に案内され、説明を頂戴する。
 
失礼ながら、施設内に入った際にゴミ回収車のような汚臭を感じた。
それでも、担当者は「今では全く、臭いは無くなった」と言っていた。
 
▼壁に掲示された実際の産廃。(掲示用のため、表面はコーティングされ、艶があり、臭いもない)
相当量の泥も含まれている。
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▼航空写真
処分地の地形の左側が湾に異様に張り出し、変形している。(なだらかな曲線を描いていない)
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▼現在の処分地の作業風景
フェンスとビニールシートで囲まれた手前(黄土色の土)が作業が終わった部分。奥(濃い茶色の土)が未作業分。
小豆島や岡山出身の八名が作業員として働いている。当然ながら全作業員は防塵マスクが必須アイテムだ。
 
施設で働く豊島島民は、委託の2名だけだとか。
別の側面として、島民の意識離れも問題視されている。
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▲▼様々な行程を経て、素材の分別がなされ、余す物なく再資源化されている。
世界的にも先進的な循環型の処理システムが実現しているそう。
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▼処理が済み、再利用が可能となった土。
当面の利用が予定されていないため、施設内に堆く積まれている。
雑草も生え、時間の経過を感じさせる。
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▼9tトラック全18台。
豊島の施設だけでは完全に処理することができないため、直島の中間処理施設まで、
専用タンカー「太陽」で海上輸送する。
太陽にはトラック丸ごと乗せることができる。素材の分別がされた産廃物を毎日334t輸送している。
潮流の都合で春夏と秋冬では、海上の別ルートを通る。
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▼施設内には、飲料水の設備が整っていない。
スタッフの飲料水は島内で調達し、タンクに貯蔵する形で補っている。
また雨水を貯め、トラックや路面の洗浄に使用している。
 
汚染の拡散を防ぐ目的で産廃物に雨がしみ込まないように、配管と専用の貯水池も整備されている。(溜まった水は、高度排水処理施設での処理を経て安全な水として海に放流される。)
 
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▲自然は優しく、泣きたくなるほど美しく感じる。貯水プールの前に立ち、海を眺める。
▼施設ゲート付近の松。急な夕立に濡れた。
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▼施設を後にし、帰り道の途中で出会った花。
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▼夕立を過ぎ、空は神々しく光を放っていた。
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産業廃棄物の不法投棄がされるようになったのは、1970年代からだと言われている。
地元住民と国政との長い論争の末、実際に処理が始まったのが2003年だ。
 
声を挙げ続けた地元住民会の方々は、既に半分以上の方が老齢のためにお亡くなりになっているそうだ。
 
当初は10年間で全行程の処理を終えるプランであったが、10年を超えて未だ処理は終っていない。
 
産廃物処理は3年先、汚水処理に至っては15年先まで時間を要すると試算されている。
地元住民には「土地を元通りにして返す」という約束がされていると言う。